おれは思春期時代に下半身は割りと毛深いのに(裏の名はデビルマン)上半身は割りとそうでもなくて、まぁ当時の男子としては割りと気にしていたのです。
しかもね、その頃単身赴任してた親父に再会したら、なんと貴方、まるで仙人みたいな髭を蓄えていらっしゃるではありませんか!
それがねぇ、超恰好良かったの、子供心に。
なんていうかほら、ジャッキー・チェンとかで出てくるカンフーマスターみたいな?
当時は男の子なら、みんなジャッキー映画大好きだから。

で、おれはその息子だ。なら絶対にあんな仙人みたいな立派な髭が生えてくるに違いない! そう信じていたんだ!
けどね?
成人過ぎても、髭剃りなんて手にする必要が無いくらいに、もう生えてくる気配さえ無し!
これはいかん!
おれにはカンフーマスター足る資格が無いと言うのか神よ!?

ってことでね、20代の頃から必要も無いのに、必死で産毛を剃り続けましたよ、えぇ。
全てはカンフーマスターの為に!
そして、20代後半になった辺りに貴方、まばらではありますが髭が!
そう、待望の髭が生え始めて来たのです!
ついに来た! ついにこれからカンフーマスターへの道が開かれたのです!
思えば長い道のりでした…。
だが、まだまだらです! ここで気を抜くわけには行かない。
既に結婚もし、子供も生まれ、社会人になっていましたが、まばらな無精髭をある程度伸ばし、そしてそれを一気に剃ると言う行為を数年繰り返しました。
会社では何も言われなかったのか? と言う疑問もあるでしょうが、ぶっちゃけ仕事がハードでそう言うことを問題にするような会社ではありませんでした(w

そして齢30にして、とうとう親父様ほどでは無いにしてもそれなりにしっかりと口髭、顎鬚が認識出来るように生えてきたのです!
やった、とうとうやった!
しかも、病気により会社を退社したおれは、今やあの頃の親父様の髭を目標に伸ばしても何も問題は無いのです。
徐々に育ってくる髭。
ある意味、今までの人生の半分を使った願いが適ったとも言える、そんな感動を感じていたこのおれにです。
カミさんは一言言いました。
「パパ髭似合わない。ってかあたし髭嫌いだし、剃って」
orz…。
さらば青春の幻影、さらばカンフーマスター、さらば我が青春のカンフーマスター達よ!