「警察だ! 出て来なさい!」

娘を迎えに行こうと準備をすると、何やら外が騒がしい。
「あー、そう言えば一週間程前に人の良さそうな警察官が空き室になった301の住人の話を聞きに来ていたなぁ、何かあったんだろうか?」
なんて思ってたんだけど、外に出るなりタイトルのセリフを聞く羽目になる。
見るとそこには警察と思われる男性が…って、なんで十人近くも居るんだ?
って、そこの人が着ているのは『防弾ベスト』ですか?
「あー、あの人に聞いてみよう」
ちなみに、三階住人は現在は我家のみであり、防弾ベスト装備の言うあの人ってのは、おれ以外にないわけだ。
「あのねー、301なんだけど、誰かが住んでるって知ってる?」
知るわけねー。
「いやね? どーも浮浪者だかなんだかが窓破って居座ってるらしいんだよねー」
ちなみに、マジでこんな感じの軽い口調。馬鹿にしてんのかと思えるくらいだった。
その後、居座っていた男は逮捕され、いつ頃から居たのか分かるかと質問を受けるのだが…。
済みません、全然気が付きませんでしたよ(笑)
確かに、無人の階の筈なのに色んな音は聞こえてきたけど『改装工事とかバリバリやっててやかましかった』んで、その事後処理とかやってんのかと思ってました。
流石に『窓枠が外れている』のは気がついたけど、まさか『人の手で壊された』とは思ってませんでした。
カミさんが言うには、夜中に無人なのに薄暗く明かりが点いていたらしく、変だなぁと思っていたそうです。
やっぱ、あれかなぁ。台風から逃れるために進入して、そのまま居座ったんだろうか?
にしてもだ。
防弾ベストを装備して現場に来るって事は、それだけ物騒になってるってことなのだろうか?
警察ったって、街のお巡りさんって人は一人も居なかったよ。